この神社は、忠義な犬を祭るという、他にはあまり例を見ない神社である。神社の由来については、次のような物語がある。
江戸時代の中ごろ、南部領草木(現在の鹿角市の内)に定六という“またぎ”(猟師)がいた。この先祖は、源頼朝の富士の巻狩の際、目覚ましい働きによって全国通用の子孫永久又鬼免状巻物を頼朝公より拝領し、代々相伝している家柄であった。
その定六が、ある雪の朝、カモシカを近くの山で見つけ、追いかけているうちに、いつの間にか三戸領内まで入り込んでしまった。不運にも定六は、その時巻物を身につけていなかったので、捕われの身となってしまった。その時、猟の共をしていた犬シロが、来た道を引き返し、家にあった巻物を口にくわえ、飛ぶようにして三戸城内にもどったが、定六はすでに処刑されていた。
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