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ホーム > 旅のはじまり温泉編【大葛温泉】

泥湯温泉孫六温泉後生掛温泉蒸ノ湯温泉
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 入浴料100円。これだけで商売っ気のある温泉ではないことが既に分かった。

秋田県比内(ひない)町※大葛(おおくぞ)。四方を山に囲まれた小さな集落の、更に外れにある、こじんまりした温泉が今回訪れた大葛温泉。正しくは「町民浴場」で、町営となっている。

 玄関を入ると入浴券を購入する販売機と清涼飲料や牛乳の自動販売機があるだけで飾った感じも、特段歴史的なものもない。隣には至ってシンプルな畳敷きの休憩室があり、ここも100円で利用できる。本当に地元の人たちのための温泉といった趣きだ。番台にいる女性と利用者の会話を聞いていると、大方顔を知っている人ばかりのようだ。取材した時期は丁度田植えも終盤を迎えた頃、湯舟の中では田圃の事やら、近くの山々で採れる山菜の話などの話題が多いようだった。

 この温泉の洗い場にはカラン(蛇口)が無く、何と目の前をお湯が掛け流しでなみなみと流れていく。それを掬って使う仕組みになっている。浴槽のお湯も何の躊躇いもなく流れ続けていることからも天然の温泉であることが分かる。最近は循環式の温泉もある中で、シンプルな佇まいながら本当の温泉に浸かれることは一時の至福と言えよう。

 鄙びた風情がお好みの向きには興味が湧かない建物であるが、この浴室に使用されている青緑色の石材は、一山越えた比内町中野地区から産出される十和田石という凝灰岩であり、水分を含むと青みが一層引き立つということで浴室や浴槽・高級内装材に適したマテリアルとして注目を浴びている。それをふんだんに使用できるのも地元ならでは。お湯はカルシウム、ナトリウムを含む硫酸塩泉。殆ど透明で無臭であるが、かすかに香ばしい香りがし、石膏の苦味があった。効能は動脈硬化症、切り傷、やけど、慢性皮膚病。

 この地域はかつて大葛金山(和銅年間=708〜から昭和50年)があり栄えた地区。今では鉱山の遺構なども目にすることはないが、少し鹿角市方向に走ると山の中に広めの墓地があり、わずかであるが往時を感じる事ができる。幸い温泉に隣接して「大葛金山ふるさと館」があり、資料展示を見ることができるほか、町営のキャンプ場もあり、日帰りでも遊べるようになっている。



大葛温泉地図
大葛温泉のご案内

JR奥羽本線大館駅下車、駅前の秋北バスステーションから「大葛」行き路線バスで約1時間。

自動車では、東北自動車道・鹿角八幡平I.C.から国道282号線を八幡平方面に4〜5分走り、比内方面の表示から県道22号線を比内方面に山間コースを約15分。


入浴 大人100円・小人50円
休憩 100円
営業時間 6時〜21時

※不定期に休業日あり。

TEL. 0186-57-2206

※秋田県比内町は、平成17年に大館市と合併しました。

※記載内容は平成15年に取材したものです。最新情報は施設に直接お問い合せください。